2011/10/19(水) リハビリの病院

闘病記

 妻は9月から、がんを切った病院*1の勧めもあり、切った後のリハビリのための病院*2にも通うようになりました。

がんを切った病院では、がんが再発していないか定期的に診断しているのですが、現在の妻の場合、それについては一ヶ月に一回診察するだけでよいようです。

その一方、舌を全摘出した事により色々な障害 (嚥下障害、構音障害、口腔衛生状態の悪化) が発生するため、それを改善するためのリハビリや定期検診を行う必要があります。
「リハビリは、通いやすい近所の病院で、専門の先生や、言語聴覚士(Speech Therapist:ST)の人について受けたほうがいいですよ。」という主治医のお医者さんのお話もあり、紹介状を貰って 近所の大学病院に通うことにしました。
この病院は、もともと4月に初診を受けていたところなのですが、電子カルテや治療内容等を連携してもらうという都合上、紹介状を使って もう一度受けに行く……という事でありました。
頻度は、最初は検査などもあり週二回位でしたが、最近は週一回位です。*3


かんつま! 016「嚥下方法改善」

いままで「舌がんになった妻」を略して「がんつま!」というタイトルの漫画でしたが、妻のがんは一旦なくなったので、今回からかんつま!」というタイトルでお送りします。かん って何だ?という話は置いておいて…

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リハビリの病院での話、まずは 嚥下障害から。
いままで自己流で 重力にまかせて飲み込んでいた 妻ですが 実はその方法だと食べ物が気管に入る可能性があり、危ないから改善してネ、というお話でありました。

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何か起きる前に気がついてもらって良かったですね~!
食べている途中で首を前に曲げるのは、妻によれば それはそれで痛いそうなのですが、これはがんばってもらうしかないようです。


かんつま! 017「構音のこつ(1)」

次に、構音障害について。
構音障害にも色々種類があるようです。

    1. 「運動性構音障害」頭部外傷や神経の問題で発生するもの
    2. 「器質性構音障害」唇や口蓋・舌の機能が十分でないために発生するもの
    3. 「機能性構音障害」身体の機能的には問題ないが、うまく発音できないもの*4

 

妻の場合は二番目の「器質性構音障害」となります。
一般的に、舌を全摘出すると、舌を使って発音する音「サ行」「タ行」、そして人によっては「ナ行」が発音しづらくなるそうですが、妻の場合は「ナ行」の発音はあまり問題ないようです。
逆に、一般には「サ行→ハ行」「タ行→カ行」に聞こえるそうなのですが、妻の場合、「サ行」だけでなく「タ行」も「ハ行」に近い音に聞こえます
また、先日の日記にも書きましたが、最近は「イ段」が「エ段」に聞こえがちな時もあります。これは、前回記載したような舌の萎縮の問題もありますが、嚥下障害に起因する栄養不足や、口腔清掃に伴い口を大きく開ける事により、口端が切れがちで痛いため、それをかばってそうなる、という事もあるようです。(体調がよいときは問題ない)

舌全摘出といっても症状によって切り方は千差万別なので、細かい発音傾向については 人それぞれのため、個々人の状態にあったリハビリが必要であるとの事です。
また、再建舌があまり大きくなかったり萎縮してしまった場合は、口蓋に発音を助けるための装具を付けることにより、発音を補ったりするそうでした。

リハビリのお医者さんによれば、妻の発音は、「70%の人には理解してもらえる」レベルであるとの事。
70%の母数はどんな人なのか?理解してもらえない残り30%の人はどんな人? という素朴な疑問が湧きましたが、要は「そんなに悪い状態ではない。」という意味であるようでした。

また、STさんに、発音をより人に伝えやすくするためのこつ をいくつか教えてもらいました。
日々の生活に即 生かせる内容でとても助かります。
物事をよりよく伝えるコツ、という意味では、健常者(?) である私にも、役に立ちそうな内容でありました。

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文中に出てきた絵本の文章は、妻の誕生日にあげた絵本からの引用でした。

 


かんつま! 018「構音のこつ(2)・口腔内科」

 

STさんからは、それ以外に、妻の発音の傾向についてアドバイスをもらいました。
妻が「サ行」だけでなく「タ行」までも「ハ行」に聞こえやすい原因は、妻がその音を発音する時に、伝わりにくいゆえ 大きな音で伝えようとしすぎているため、息のスピードが早めになり、結果として「ハ行」に近くなってしまう、という事でありました。
「サ行とタ行は、リハビリで改善できる音だから、あまり気負わず、自然な発音となるよう心がけて下さい。」というアドバイスを貰いました。

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漫画内にも書きましたが、妻の場合、舌がない事により 口の衛生が悪くなりがちなので、歯科の先生に口の状態をチェックしてもらってます。
がんを切った病院の先生に「口の中がちょっと白い所がある。カビかもしれないので、見てもらって下さい」と言われていたのですが、「ただの食べ物の残りですねえ。掃除しておきますね」との事でありました。

妻の場合、再建舌に神経がないため、舌の陰に食べ物が行ってもなかなか気付きません。
また、舌の温度も比較的低い(血流が少ない)上に、舌から唾液が出るわけでもないため、食べ物が舌の根元で固まった後、舌の陰に張り付きやすく、一旦固まるとなかなか気がつかない、という事になってしまうようです。
しかし、妻の場合、たまたま再建舌を取った部分がおなかだったせいか、表面がつるつるしており、お医者さんによると「これは、綺麗な再建舌ですねえ。汚れ自体は、比較的たまりづらいですよ。」という事でありました。
舌がんは男性に多いがんらしいのですが、そうなると 再建舌として取って来た部分に剛毛が生えている場合もあり、日々の掃除が大変……という事もままあるそうです。


 

妻からひと言

 「ポテチたべたいなー^^ あとチョコパイみたいなので新しいの出てた! そのうち食べれるかな? 食べるのに30分くらいかかるだろうけど……」

との事であります。

ではでは!

*1:国立がん研究センター東病院

*2:東京歯科大学市川病院 最初に通ってたトコです

*3:保険会社に「こういうリハビリで別の病院に行くというのも、保険適用となる「退院後の通院」扱いになるのですか?」と尋ねたら、OKですよ、との事でありました。保険会社にもよると思いますが……

*4:子供等が何らかの原因で言葉や発音を間違って覚えてしまったケースなどが、これに該当するようです

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