2018/8/9(木) 妻、倒れる

闘病記

前回の更新から一年半くらい経過しました。

妻が 舌がんを切除してから七年、喉のがんを二回切除してから二年近く経過しています。

そんなある日、がんとは関係ないと思うのですが、妻が突然 倒れてしまいました。

その救命作業に際し、がんの手術の痕が立ちはだかることとなりました。

2018/8/9(木) つま140「妻、倒れる」

↑実際は生命維持のための諸々の管がつながってます

以下、発症当日から本日までの流れ。長文です。

当日の経緯(1日目) 8/3 金曜深夜 〜 8/4 土曜日

2018年8月3日(金)。その日は午後妻と一緒に久々に出歩き、夕方はお気に入りのキッチンでジュース等を飲んで帰宅しました。

妻は疲れてしまったのか、しばらく横になってうとうとしていました。

23:30頃、妻がお手洗いへ。10分くらいした後戻ってきたのですが、戻ってくるなり半回転していきなり仰向けにあたまから倒れてしまいました。
すぐ真下にあった扇風機が跳ね跳びます。(今思えばこれでちょっとショック吸収になったかもしれません)


妻に駆け寄ると、手が痙攣して、視点があわず、口からあわをふいていました。
これはやばいやつだと思い、まず吐瀉物でのどが詰まらないように体を横にしてティッシュで泡をとったり、タオルをしいたり。

その後すぐ119番しました。119番したのは20年前に隣が火事かも?ということで掛けて以来なので人生二回目の119番です。
コールの方が、「火事ですか救急ですか」、というので、前回とは違い「救急です」といって病状伝える。10分くらいで来てくれる、とのこと。
妻に「救急車くるからね、がんばってね」と話しかけます。
脈をとってみたが、焦っていたせいか、脈、よくわからず。

最初は呼吸ができていない感じでしたが、すぐにすごい勢いで呼吸音がしはじめました。
救急車くるまでの時間、すごく長く感じましたが、5分くらいした後遠くからサイレンの音がするのがわかりました。
それから3分くらいして、家のチャイムがなったので通ってもらいます。
救急隊来たのは23:55位。9分です。早かった。
四人くらい入ってきて、いろいろ酸素マスクや器具つけたり、呼びかけたりしてくれます。
ここで、飼い犬のエルドが、知らない人が外から来たというのでわんわんと激しく鳴くため、抱きかかえて鳴きやませます。
数分後、携帯式の布たんかに妻を移し替えて廊下まで搬出し、エレベータでそのまま下へ。消防の人もあがってきて火事がないか確認していました。
自分も救急車に付きそうため、最後、忘れ物ないか戸締まり確認。必要最小限の鍵・財布・携帯と、妻がいつも持ち歩いているカバンを持っていくことにしました。エルドと ぽらん(オカメインコ)はお留守番です。

救急病院へ

0:15頃、救急隊の携帯たんかで妻をマンションの一階まで運び、それから救急車に乗せます。

救急車の中で簡単な措置と、状況判断などしているようで、10分ほど外で待つことになりました。そのあと、救急車に乗ってくださいと言われたので乗り込みます。中には横向きのシートベルトがついていて、それをするよう促されます。
かかりつけの病院聞かれましたが、すぐそこの大村病院は数年前に検診で行ったくらいです。
救急隊によると、意識レベルがかなり悪く、酸素レベルも低く危険なので、三次救急の浦安の病院につれていくとのことです。お願いしますということで0:30頃移動開始。
途中、妻の酸素レベルをはかっている器具が何度も取れたので、付け直していました。
車の中で簡単な問診の紙を書きます。

0:50頃、浦安の病院に到着。自分まず降り、つづいて妻のたんかを下ろします。ここから車つきのたんかに載せ、そのまま救急処置室へ。
お医者さんと別室で話。今回の症状の話や、持病の有無など。最初に横向きにしてすぐ119番したのは非常に賢明な処置ですね、とのことでした。
妻の持病、舌癌をした以外は特にないが、手術を何回もしたため口が2cmしか開かないという話をします。
それからしばらくは、治療にあたって口から気道確保してよいか、という話。もちろん問題ないです。ただ、結局口からも鼻からも気道確保できませんでした。
妻は、口が開かないため口からの挿管はできず、鼻からの挿管を試みたのですが、妻は舌以外にのどの手術も2回していたためか、気道のファイバーが途中で止まるのだそうです。(今思えば気管が右にずれていたのもあるかも)
妻の周りには常に数人いたのですが、2:00位に、ちょっとAEDぽいのを使いそうになっていました。後で伺ったら酸素レベル低下による自発呼吸低下で、心停止直前までいっていたのだそうです。
2:30くらいに、別のお医者さんから話があり。妻は現在呼吸がうまくできておらず、酸素レベルが低く、二酸化炭素レベルが高い状態にあり、このままだと危険なので、気道確保のため緊急に喉の切開手術をしたいものの、バックアップの呼吸ラインがなにもないため手術にはリスクがあるという話をされます。
しかし、ここはもう、喉を切らないと妻は助からない状況だと思ったので、手術をお願いしました。
手術にあたっては、もうひとり外科の先生を呼んで二人で手術するそうです。


3:00くらいに部屋を移動し、CTスキャンなど行います。自分もお医者さんも、その時までは、脳の出血関係が原因かと思っていたのですが、CTの結果、脳出血は一切なく、しいて言えば脂肪肝ですね、という話でありました。
それは、まあ、そうでしょうね……(汗)


手術は先生が到着した後3:45頃から行うそうです。
自分は家族控室に移動しました。

緊急手術

かくして手術です。終わるまで、ずっと控え室で待ってます。

4:50頃、手術終わり、看護師さんが状況説明しに来てくれました。手術は成功で、いま終わった後のレントゲンを撮っているとのことです。


5:20頃、再び係の人きます。意識はまだ戻らず、痙攣が続いているので引き続き薬を使っておさえるとのいう話であります。
妻の場合、通常の人と異なり、気道の位置が少し右側にずれて斜めになっていたので、多少食道を傷つけたかもしれず、念の為またCTとる。という話をしていました。最初の手術のときにはそんなことなかったので、これは、7年間 上から飲み込む生活が続いたため、横にずれてしまったのかもしれないと思いました。

6:00頃、また係の人きてくれます。CTは無事に撮れたが、服が汚れているので着替えしているそうでした。
7:05頃、妻に会わせてもらえることになり、外に出る。すっかり夜はあけていました。ICUへ。簡単に入室ルールの説明を受けます。プライバシー保護のため、他の患者にカーテンしてから通すとのことでした。東病院とは違いますね。手をアルコール消毒し、マスクして入る決まりだそうです。
妻、痙攣がおさまらず、そして不規則にめちゃめちゃ目が動いていました。
お医者さんが状況を説明してくれます。目が動くのは痙攣がまだ収まっていないため。意識はないそうです。
痙攣をおさえる薬は睡眠を誘発するそうで、本当に意識がないのか、薬によるのかの区別も今はできないとのこと。
あと、二酸化炭素はようやく平常化したそうです。このあと、気管と食道を再度確認するそうでした。

ご両親に連絡

その後、妻のご実家に電話。お義母さんが出る。状況を説明すると、来てくれるということになりました。
お義父さんも、外出する用事があったものの、来てくれるそうです。
お二人、9時過ぎに来てくれました。昨日から自分ほぼ寝ておらず、さすがにすこし部屋の壁にもたれてうとうとしていたのですが、電話が入ったので場所の説明など受けます。


9:40過ぎに、先生から病状の説明。
脳には問題は見受けられず、痙攣した原因がよくわからない、とのことでした。小さいころてんかんなどありましたか、と質問受けるものの、両親ともに覚えなし。
意識がないのは恐らく低酸素症が長く続いたためではないか、とのことです。
ただ、痙攣かてんかんかの検査は週明けでないとできないそうで、今週は脳を休めるためにこのまま眠らせる、という話でありました。
いろいろ今後の治療のための誓約書など書きます。造影のCTのところでちょっと後遺症出てしまった編集者の竹熊健太郎さんを思い出してしまいましたが、妻の場合は何回も経験してるので問題ないです。

先生に、「妻は、脳死に近い状態なのですか?」と質問しました。
脳死、という言葉を出した時に、自分の声が震えるのがわかりました。
体の動きはしっかりあるので脳死ではない、とのことでありました。


なお、現在、東病院の妻担当の先生から手紙(FAXのこと?)をもらったのでそれを治療の参考にしているそうでした。こんな朝早くからありがとうございます。
この先生も、深夜からずっと対応してくれています。本当に感謝です。

再対面

その後は、一旦部屋に戻った後、手術後の妻に会えるとのことで、三人で病室へ。すでに10:30くらいでした。
妻は、7時時点では結構目が動いていたが、この時は安らかにすやすや眠ってくれていました。
眠っている妻が呼吸しているのを見ると、ああ助かったんだなぁ、と、涙ぐんでしまいました。やっと少しほっとしました。


妻はこのまま眠り続けるようなので、お昼に撤収しました。14時過ぎに帰宅。二匹のペット、犬のエルドと オカメインコの ぽらんは元気にしてくれていました。エルドがぺろぺろと顔をたくさんなめてくれました。

翌日(2日目) 8/5 日曜日

午後妻のお見舞いへ。妻は昨日の説明にもかかわらず、なんと目覚めていました。相変わらず麻酔の効きが薄い人です。

ただ、半開きの目の視線の先に立ちましたが、何も反応がないです。
お医者さんによれば、現在は外界を認識していないとのこと。しかし片足を動かしたり、あくびしたりしているので、脳死からはかなり遠い状態ではある模様でした。
先生によると、この状態から回復するか、ずっとこのままかは本当に人によるとか。
あとは、担当看護婦の方に、昨日依頼されて持ってきたおむつと、口腔内ブラシ、それに爪切りと筆談用手帳を託しました。爪切りは、そのうちいるから念の為、と思って買ってきたのですが、妻の足めちゃめちゃ爪のびてたので、早速必要かもしれない。インド人もびっくり(古い) の、やばいレベルです。

3日目 8/6 月曜日

平日です。日中は仕事のため、夜、お見舞いに行きました。

お医者さんによると、朝ちょっと薬を少なくして様子みたところ、よく動くので、管を外さないように両手をベッドに拘束したそうでした。仕方ないですね。

目は、昨日と異なりぱっちり開き、斜視もなくしっかり両目とも前見ているのですが、こちらが手をふっても反応しません。ただこちらを見たりはしている模様でした。

しきりにあくびをしたりしています。たんを抜くため呼吸の管を抜くとめっちゃ痛いみたいでしかめつらしていました。
唾液をとる管を口から通そうとすると抵抗しています。先々週、妻の前歯の差し歯が一本抜けていたので、そこから通すといいですよ、という話をしました。


明日MRI、明後日脳波の検査だそうです。なんでも、妻は、痙攣をおさえる薬をずっと使っていたので、薬がまだのこっており、全部ぬけるまで48時間かかるとのことでありました。
あとリハビリを開始しますというのに許諾書をかくことになりました。許諾書多すぎなのでは。許諾書なしにやってくれて問題ないですよ。

4日目 8/7 火曜日

今日は妻は はっきりと起きており、まわりをきょろきょろしながらニコニコしていました。笑えるんだね。また、ちょっと涙が……。
しかし、やはり、こちらが手を振っても反応ない状態です。

ただ、手すりとかを見てつかもうとしているので、目は見えているのかな?

看護師さんによると、妻は奥歯が二本ほどぐらぐらしているとのことでありました。痙攣のときに歯を食いしばったからかも。
今日は、妻が敬愛する宇宙飛行士、毛利衛さんと撮影した写真を見せて「毛利さんだよ」という話をしたのですが、妻、あんなに大好きだった毛利さんにも特に無反応。呼びかけにも応えずです。

ちなみに足には先程までいらしていたお義母さんが持ってきた靴下が履かれていました。
例の長く伸びた爪は、皮膚科の先生が消毒して綺麗に切ってくれたそうです。水虫とかは特にないそうでした。良かった。

妻の点滴がちょっと血が滲んでいるようで、点滴の腕を変えたり、足の拘束のところが赤くなっているのを手当してくれていたりする間、ICUの外で待ちました。
その後すぐ、MRIの順番があいたとのことで、その準備に入ります。妻は動きが読めないので、いろいろ安定のための薬を打っています。今日はお邪魔かなと思い撤収しました。。

5日目 8/8 水曜日

台風接近のため定時であがれました。

妻は今日はベッドから斜めの体勢になっていて、手で手すりをつかもうとしていました。斜めになっているのは床ずれ防止で位置を定期的に変えているためだそうです。

看護婦さんたちが、妻について「手の力が強いですよね」と言っている。ピアノを弾いていたから握力だけ強いのです。
妻は目が見えてない・耳が聞こえていない、ということなのでは?と質問しましたが、そういう病気ではないとのことでした。
やはり見えているがつながってこないということであるようです。
手の甲に、妻の名前をひらがなでかいてみるも反応なし。

妻が好きだった、アサンテのシロアリ検知犬チーム「くんくんズ」の写真を見せても、無反応です。

ただ、飼い犬のエルドが、散歩中ウロウロしている動画をスマホ(機内モード)で見せたら、気のせいか妻が若干 涙ぐんでいるような気がしました。とは言っても視点はキョロキョロしているので、動画をはっきり見ている感じでもないのですが……


耳元で、周りには聞こえないような小声で歌を歌ったりしてみます。妻が大好きでよく歌っていた「宇宙戦艦ヤマト」のテーマを歌っていたら、なんか自分が涙声になってしまいました。

6日目 8/9 木曜日

新浦安へ。今日は入り口で先生と会った。脳波を測ったがかなり弱かったとのこと。しかし、まだこれで固定されているというわけではなく、動きも比較的大きいし、笑ったりすることもあると聞いている、という話をしていました。
エルドの動画をみたら涙ぐんだように見えたという話をすると、そうなんですね、写真とか好きな歌とかみせてあげてください、とのこと。

妻は今日は熱が出て、抗生剤を投与されているとのこと。こちらにはやはり無反応です。来たときには目をつぶっていたものの、目をあけてくれていました。
今日は妻に、自分の歌ではなく実際にささきいさおさんが歌っている宇宙戦艦ヤマトの曲とか、あとFate/Zeroの満天をiPhone経由できかせたりしました。
聞いている間、じっと目をひらいたまま一点をみている妻。曲が終わるあたりで目をつぶって寝てしまいました。

現在

というわけで現在に至ります。
金曜日に、妻の両親と一緒に、妻の脳の検査の結果を聞くことになっています。ぼくら周りの人があたふたしても仕方ないので、落ち着いて聞こうと思ってます。

ここまで読んでくれてありがとうございました。

次は多分、土曜の朝に更新です。

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